全米が泣いた奨学金返済の話

シビアな奨学金についての話

家族まで巻き込む奨学金破産の連鎖

time 2017/05/04

家族まで巻き込む奨学金破産の連鎖

20年にも及ぶ不景気・デフレの継続により、一般家庭の資金余裕は二極分化が著しく、貧困層の増大は明らかになっています。

その結果、大学進学者の約半数が、卒業後の収入により返済しなければならない奨学金を借り入れて、大学に通っているのが現状です。

そして、他の先進国では奨学金といえばまず返済不用の給付金であるのに対し、日本ではそのほとんどが貸与金、すなわち借金であるのが大きな特徴です。

日本の保証人制度

そして、借金であるので、ある意味当然のことながら債権を担保する意味で、保証人が要求されています。

ある意味当然とは言いましたが、この保証人制度も、日本のそれは古く江戸時代から存続していた我が国固有の制度で、他国のそれとは歴史的経緯が異なります。
これほど長期にわたる景気低迷を前提としていない旧来の保証人制度は、もう限界にきているといっていいでしょう。

事実、立法機関でも人的保証に関する法律の改革に取り組んでいる最中です。

ですがそれが実現したとしても、法律不遡及の原則により、過去の法律に従って締結された保証契約は遡って変更はされません。

自己破産の影響は家族に

日本学生支援機構による貸与型奨学金の場合、債務者(学生)本人の親が機構側から指名されて連帯保証人となり、その上近親者から重ねての保証人を求められています。

近親者の保証人は連帯保証人ではないので法定された抗弁権があり、連帯保証人よりはいくらか有利ですが、債務者、連帯保証人が債務の弁済が不能とされれば保証の責に任じなければなりません。このように親や近親者を巻き添えにする形で、一人の債務者が奨学金破産を行なえば、その影響が家族親戚に及んでくるのです。
また、自己破産の申請をする場合、現に催促を受けている債務および債権者だけではなく、自分が債務保証をしている未催促の債務も総合して裁判所に申告しなければなりません。

兄弟一人が自己破産したら

兄弟姉妹が複数の奨学金債務を負担していてお互いに債務保証をしている場合など、例えば長子が奨学金を借りて大学を卒業したのち就職して、弟妹が大学に入る際に借り入れた奨学金の保証人になった場合などですが、そのうちの一人の債務返済不能による奨学金破産によって、親兄弟がお互いの債務保証のしがらみのため、同時に自己破産に追い込まれるといった事態も十分に考えられるのです。
このような現行制度の仕組みを早急に改革することはもちろんのこと、過去の制度下における保証についても、その運用により前記のような不幸が多発することのないよう、国を挙げての対策を実行することが本当に必要な時代になってきているといえるでしょう。